【アニメの紹介】
さて、今回とりあげるのは、みなさん大好き私も大好き「金田一少年の事件簿」の電脳山荘殺人事件です。原作ではなく、アニメの方をとりあげます。第74話~第77話にわたる計4話ですね。金田一の中でもかなり好きな部類に入る事件なので、1発目にとりあげようと思ったわけです。
雪山で遭難した金田一と美雪は、たまたま見つけたコテージで不思議な集団と出会う。彼らはパソ通で知り合ったらしく、互いの本名すら知らない状態で今日初めて会ったのだという。ハンドルネームで呼び合う不思議な関係性、それぞれが持つ隠したい事実、そしてやはり起こってしまった連続殺人事件……。
以下、重要なネタバレを含む。
【事件の再構成】
少々、ややこしい事件であるので、まず登場人物の整理から始める。
・僧正…実は営業成績の悪い会社員。
・ワトソン…実はただの予備校生。
・シド…ミュージシャンになりたいと思っているだけの人。
・ぱとりしあ…ぬいぐるみ持ちのデンパ系。
・アガサ…高校生。実はコテージに来る前に殺されていた。コテージに来ていたのは、トロイの木馬がなりすましたアガサ。
・乱歩…爽やか系の人。アガサのことが好き。
・スペンサー…ネナベしてた。実は女。これけっこうポイント。ほかの奴らはスペンサーのことを男だと思っているので、男5人、女2人計7人の集団だと思っているが、実際は男4人、女3人計7人の集団である。
・七瀬美雪…正妻。
【いつかわからんがとりあえず事件よりは前】
犯人トロイの木馬が、本物のアガサを殺害。
残り6人:僧正、ワトソン、シド、ぱとりしあ、乱歩、スペンサー
【1999年1月15日】
コテージに集まると約束していた日。そして、金田一たちが遭難してきた日。最初に集まっていたのは、僧正、ワトソン、シド、ぱとりしあ、アガサ(トロイの木馬)の5人。これに金田一と美雪が加わった。スペンサーと乱歩は遅れてくることになっていた(これには理由アリ)。スペンサーと乱歩が遅れてきた理由は、以下のスペンサーラブラブ大作戦による。
〇スペンサーラブラブ大作戦
まず、パソ通上での関係を整理する。乱歩とアガサはお互いに良い感じになっていた。スペンサーと乱歩は良き親友といった感じ(スペンサーはネナベしていた)。だが、スペンサーは乱歩に対して恋をしてしまっていた。そこで、スペンサーはアガサに対して「このオフ会中は身分を交換してくれないか」と頼む。つまり、スペンサー(アガサ)、アガサ(スペンサー)として過ごすという感じ。だが、この作戦内容はスペンサーとアガサしか知らない。ただ、本物のアガサはすでに殺されてしまっているので、アガサ(スペンサー)、スペンサー(トロイの木馬)といった感じになる。
2人だけの時間を作るため、スペンサーと乱歩は遅れてくることになっていたのだ。
22時30分ごろ アガサ(スペンサー)と乱歩がメインコテージで会う。このとき、天井で盗み見てたのがスペンサー(トロイの木馬)。身分の交換は上で述べた通り。この2人はここから1時30分ぐらいまでイチャイチャしてる。このとき、マフラープレゼント。
【1999年1月16日】
12時43分 僧正が刺殺される。パソ通の記録から、死亡時刻が割り出された。
このとき、ワトソン、シド、ぱとりしあの3人はパソ通をしているためアリバイ成立。金田一と美雪も2人でいたため、アリバイ成立。乱歩とアガサ(スペンサー)もメインコテージでイチャイチャしていたため、アリバイ成立。もちろん、スペンサー(トロイの木馬)にアリバイはない。ただ、身分交換作戦(括弧で書いたもの)はアガサとスペンサーしか知らない。したがって、それ以外の人たちからすると見かけ上アガサにアリバイが成立し、スペンサーにアリバイが成立しないということになる。あとはスペンサーと乱歩を早めに口封じしてしまえば、トロイの木馬はアガサとして完璧なアリバイを手に入れられる。これが第1の殺人のアリバイトリック。
残り5人:ワトソン、シド、ぱとりしあ、乱歩、スペンサー
1時30分ごろ メインコテージでイチャイチャしていた乱歩・アガサ(スペンサー)だが、ぱとりしあ(トロイの木馬)の電話により解散。その後すぐ、トロイの木馬がアガサ(スペンサー)を殺害。これにより身分交換作戦を知っている人物がいなくなる。ただ、トロイの木馬としては乱歩がいるときに他のメンバーと会うとまずいことになってしまう。乱歩以外のメンバーからすると最初にコテージで会っていたときのようにアガサ(トロイの木馬)なのであるが、乱歩はアガサ(スペンサー)だから矛盾が生じてしまう(乱歩からしたらトロイの木馬は初めまして)。したがって、トロイの木馬としては早めに乱歩を殺したいところである。スペンサーの死体は隠されていて、後から出てくるので、このときのアリバイについて精査されることはなし。
残り4人:ワトソン、シド、ぱとりしあ、乱歩
その後しばらくして 乱歩が刺殺される。
このとき、ダイイングメッセージとして「ぱ…と……」という言葉を残す。ほぼ即死に近いということ。したがって、犯行時刻は金田一たちが発見するほんのちょっと前ということになる。
〇このときの乱歩の思考回路
ワイを殺したのは女やった!このサークルにおる女は、アガサとぱとりしあの2人だけや。今さっきまでメインコテージでワイと会ってたのがアガサなんやから、あいつはぱとりしあや!
※スペンサーがネナベしていたことを乱歩は知らないため、女2人という前提で考えてしまっている。
※乱歩はアガサ(トロイの木馬)とスペンサーの身分交換作戦を知らないので、自分があった人物をアガサだと認識してしまっている。
では、乱歩殺しのときのアリバイについて整理する。
①金田一と美雪がラウンジに到着。
②①に2~3分遅れてぱとりしあが到着。
③さらに5~6分遅れてシドが到着。乱歩が死ぬだいたい10分ちょっと前。
④さらに4分遅れてアガサが到着。乱歩が死ぬだいたい6分前。
⑤その後ワトソンが到着。
⑥金田一、ワトソン、シドたちが様子を見に外に出る。乱歩を発見(ほぼ即死)。このとき②から20分以上経っている。
金田一たちは、刺されて間もない乱歩を発見している。したがって、犯人として怪しいのは到着の遅かったアガサ(トロイの木馬)とワトソンである(シドは金田一の判断によりアリバイ成立とされた)。
残り3人:ワトソン、シド、ぱとりしあ
【1999年1月17日】
ぱとりしあが毒ガスにより殺される。
【事件の解き方】
【論理的思考によるもの】
今回の事件はかなり難しかったと思う。実際、私は論理的思考では解答にたどり着けなかった。今、思い返せば「こうしたら解けるかな?」というのがあるので、それを書いておく。今回の事件を難しくしている要因は次の2つである。
①スペンサーがネナベをしていた。
②アガサとスペンサーが身分交換作戦をしていた。
①は事件の途中で明かされるからよしとしよう。②は「乱歩殺しのときのぱとりしあのアリバイは完璧なはずなのに、どうして乱歩はぱとりしあを犯人だと思ったのか?」と考えていけば、たどり着けるかもしれない。仮に②にたどり着けなかったとしても、乱歩殺しのときは何のトリックも使われてないので(身分交換作戦がここにも効いてきてはいるのだが)、単純にアリバイがなかったアガサかワトソンが犯人だろうと推測することはできる(もちろん何らかのトリックが使われていたと考え、シドやぱとりしあを犯人候補に含めたくなる気もわかるが)。
【直感によるもの】
さて、1番楽しい当て推量の時間である。
・僧正…弱い者いじめをしていそうな顔をしている。きっと過去にクズなことをしたに違いない。殺され顔をしている。
・ワトソン…臆病デブ。2人目ぐらいに殺されそう(実際は殺されなかったからびっくり)。喚き散らす役回りを演じそう。
・シド…一見派手だが、しゃべっているときはそんなに派手さを感じない。cv.三木眞一郎は怪しい。犯人候補。
・ぱとりしあ…デンパ系。デンパ系は何も関係ないことが多い。死なないか死んだとしても決定的証拠を見てしまって殺されるというパターンだろう(と思っていただけに、今回は普通に過去の犯罪に関わっており、その上殺されたので驚きだった)。
・スペンサー…登場遅い。だいたいもう死んでいる。
・アガサ…設定普通の高校生が臭すぎる。きっと悲惨な人生を送っていて、それを偽りの身分で塗り替えたのだろう。顔はそんなに犯人っぽくないが、設定が犯人っぽい。
と山をはると、犯人候補はシドかアガサの2人にまで絞れる。ここからはもう「何となく」で当てにいくしかない。
【感想】
追い詰める過程で、利き腕の話が出たが、このときトロイの木馬が右腕で書いているのを金田一はよく見ていたのだろう。実際、ちょっと顔をしかめる様子が見て取れる。こういうのを見ていると、日常生活で他人の利き腕をチェックする癖がつくよね。ただ、左利きの人物が少ないので、役に立つことはそんなにないんだよなあ。まあ、チェックしておいて損はないだろうからと一応チェックするようにしています(ドアノブを回すとき、ペンを持つとき、ご飯を食べるとき)。予防接種の書き込みについて(これはちょっと自分がひねくれすぎかもしれないけど)、本物のアガサが左利きだったとするのは早計過ぎる気もする。「私は右腕にあるけど…。」というセリフだが、私は(利き腕が右であるにもかかわらず)右腕にあるけど…。」という可能性もあるのではないかと思ってしまった。
僧正殺しの後、金田一が電話で乱歩とのアリバイについて、アガサ(トロイの木馬)に確認を取るシーンで、疑問に思ったことがあった。乱歩の視点だと、「金田一とアガサ(スペンサー)が話していたはずなのに、電話代わったらぱとりしあが出てきたんだけれど!?」となるような気がするのだが、そうでもない?何か私が勘違いをしてしまっている気もする。今日初めて会った相手だし、ましてや電話越しとなるとしかたがないところではあるか。多少、声の雰囲気が違っても、アガサ(スペンサー)として認識してしまったのかなあ。
「高校生なら自習って言うのが普通じゃないか?」とアガサ(トロイの木馬)に対して、身分を偽っていることを詰めるシーンがあるが、そんなに賛同できなかった。むしろ休校の方が自然に感じたのだが、このあたりは個人の感覚といったところなのだろうか。
よく考えたら、部外者の金田一と美雪が1番怪しい気はする。僧正殺しのときのアリバイもこの2人でとりあっているわけだから、共犯を疑われても仕方ない。
死の直前、最後の最後まで少しでもヒントを残そうとしたぱとりしあのこと、好きになっちゃった。過去に起こした犯罪は許されることではないが、少しでもとヒントを残してくれたのは好印象。毒ガスにもがき苦しんで死をひしひしと感じている状況なら、私だったらとりあえず窓を開けてみようとか考えて結局くたばってしまいそうな気がする。そんな中、「おそらく自分はもう助からない」と覚悟を決めて、苦しみながらもコードに好きなぬいぐるみを巻き付ける様子を想像すると悲しくなる。このときの殺害方法が毒ガスなのは、トロイの木馬のこだわりを感じた。自分の婚約者であった榊原が殺されたのと同じ方法を使って、加害者たちに同じ苦しみを味わわせようとしているのだろうか。
犯人のトロイの木馬、個人的にはけっこう好き(もちろん人殺しは良くないと思うヨ)。犯人としては好きってこと。上記の殺害方法に関するこだわりや徹底的にあがく姿が好印象だった。やはり自分の性格として「ねばり強く、しつこく、往生際が悪いと言われるほど、徹底的にあがく」というのが好きだから、トロイの木馬の最後のあがきやぱとりしあの最後のあがきが好きなんだと思う。大検受けて国立大学に入れるようになったのもすごいね。トロイの木馬もすごいけど、榊原もすごいと思う。事故を起こしてしまったとはいえ、良い先生だったんだなと思う。
ファイル3の最後の次回予告好きカモ。テーマのパソ通感が表れていて好き。
今回の被害者たちが過去に起こした犯罪って法律的にはどう裁かれるのだろう?法律にはあまり詳しくないのでわからない。
パソ通について。1999年というと私は小学校に入学するちょっと前なので、当時パソ通が流行っていたかどうかは全然覚えてないが、流行っていたのだろう。結局パソ通を使ったことがないまま大人になってしまったので、あまり詳しい事情がわからない。比較的近いところにいる人と繋がれるものなのだろうか?そうじゃないとしたら、榊原を殺すためだけに、僧正たち7人がわざわざ1つの町に集まったということになるので、ちょっと変な気もする(というか怪しい)。できれば1度はパソ通してみたかったですが、もうサービス終了してしまっているようですね(悲しい)。
同じく時代を感じるものとして、本物のアガサの容姿が挙げられるよね。こんなガチの黒ギャル、もう今の時代いないよ。おでんくんのガングロたまごちゃんぐらいか?私が高校生の頃(2010年ぐらい)でさえ、もうほとんど黒ギャルはいなかったと思う(ギャルはけっこういた)。ただ、今の時代はギャルさえ少ないそうなので、時代の移り変わりを感じる。というかこいつ、トロイの木馬に問い詰められて、すぐに過去の犯罪のことしゃべったらしいけど、さすがに口軽すぎじゃね?と思ってしまった。それをばらせば、さすがに何らかの犯罪に問われそうな気もするのだが、と思ってしまった。法で裁かれることはないだろうと高を括っていたのだろうか(法ではさばかれなかったが、人に裁かれてしまいました)。
身分ごまかしてるけど、今の時代ならすぐにネットで調べられるからそんなことできないだろうなと思った。良くも悪くも、誰でも簡単に、いろんなことをネットで調べられるようになってしまったので、「全然それらしきもの見つからんやん!」とばれてしまいそう(とはいえ、本名を明かしているわけではないので、別人を勝手にこの人だろうと推測してしまうことはあるかもしれない)。まあそれもオフ会をしてしまえば、通用しなくなってしまうのだけれど。
今回は金田一の推理もわりと納得できるものが多かった(おいおいそれは強引だろ、というのがほとんどなかった)。そういう意味でもかなりすっきりした気分で終われる。「スペンサーが犯人ならわざわざフロッグボイスを使って電話をかけてくることはないだろう」というのは「チェス盤をひっくり返す思考」っていうやつだね。「相手がこっちにどういう印象を与えようとしているかをウラ読みする」っていうやつ(なんかちょっと違う気もしてきた、合ってる?)。
1番感動したシーンは、アガサ(スペンサー)が乱歩とメインコテージでイチャイチャするシーンである。このときアガサの姿は影でしか描かれてないので、アガサ(トロイの木馬)と勘違いしてしまうようになっているのが、よくできているなあと思った。若干、髪の色が違うような気もしないでもない。最後、暖炉の炎が燃え上がる様子がアップされているのは、その後、盛り上がることがあったと考えてよろしい?あの様子を見たら、アガサ(トロイの木馬)と乱歩とは別にいる第3の人物が犯人としているような気がしてしまう。このミスリードの演出は上手いなあと思いました。
フロッグボイスなるものはヘリウムなどで声を変化させて遊ぶおもちゃだと思うのですが、何か元ネタがあるのでしょうか(何か具体的な商品があって、それをもじってる的な)?それとも、てきとうに名前を付けただけなのかな?
僧正、cvは江川央生さん。調べてみたところ、暁のヨナのユホンの声をあてているらしい。その他特に自分が知っていそうなキャラがいなかったので、何とも言えないところを挙げることとなりました。僧正というと禁書目録も思い出してしまうよネ。
乱歩、cvは宮本充さん。何と小城拓也(タロット山荘殺人事件)の声もあてているらしい。GUNSLINGER GIRLのジャンや暁のヨナの先代青龍、禁書目録のエイワスの声などもあてているらしい(暁のヨナ繋がりあって驚き)。
スペンサー、cv無し!だって、しゃべるシーンなかったもんね。
ぱとりしあ、cv加藤優子さん。ちょっと自分の知っているキャラクターは見当たらなかったデス……(スミマセン)。
アガサ、cv平松晶子さん。BLEACHの志波空鶴、禁書目録の前方のヴェント、攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEXの辻崎サオリなどの声をあてているらしい。アガサちゃん、可愛かった。
シド、cv三木眞一郎さん。これはもう事細かに書く必要ないよね。
ワトソン、cv小野健一さん。高遠遙一の声をあてています(ワーオ)。
それぞれの細かい名前の由来を作者の方に聞いてみたいところですね。
最後にOPとEDについて語って終わりにしよう。OPの「BRAVE」は正直ビビビっときてないのですが、EDの「はてしなく青い空を見た」は好き。西脇唯の独特のセンスが出ている気がシマス☆カラオケに行ったときはかなりの確率で、歌っているような気がシマス☆彡西脇唯は他の曲も、かなりビビビっとくるものが多いので、ぜひ聴いていただきたい。
【まとめ】
思うままに書いていたら、ものすごく長くなってしまった(約7000字)。とはいえ、この電脳山荘殺人事件は整理しないとこんがらがることが多く、自分の中でもピシっときてなかったので、一度整理したかった。ここまで読んでくださっている方はいないだろうと思っていますが、もしいたとしたらうれしい限りです。こんな自己満足なブログに付き合っていただき、大変感謝です。これからもよろしくお願いします。