【ゲームの感想】景の海のアペイリア #5

【ゲームの紹介】

 ついに景の海のアペイリア、完走しました!なかなかの大作でした。正直、後半はかなり大変でしたが、その分、読みごたえがあったので満足です。普通にSF的な難しさがあるなと思って読んでいました。Twitterで「1周で理解できるやつは少ない」的なつぶやきを見つけて安心しました。私も完全に理解し終えたとは言えないですが、一応、1周目が終わったのでひとまず感想として形にしたいと思います。すぐにはやらないと思いますが(他に積んでいる美少女ゲがあるから)、時間をおいてもう1度プレイしたいゲームだと思いました。最後なので、ちょっとだけあらすじ紹介……。

 主人公、零一はひょんなことから強いAIであるアペイリアを創ってしまう。そして、零一とその友人たちはアペイリアの力を借りて、現実世界そっくりの完全没入型VRMMOを創り出してしまう。しかし、シンギュラリティを超えたアペイリアの力は零一たちが予想もできない事態をつくり出していき……。

以下、重大なネタバレを含む……。

 

 

 

 

 

 

 

【ゲームの感想】

 最後の時間軸はアペイリア√とも言えるものでした。前回の記事までで、三羽√、久遠√、ましろ√と個別√の感想記事としてまとめてきたので、アペイリアも個別√としてまとめようと思います。その後、全体の感想を書いていこうと思います。

 さて、アペイリア√ですが個人的には1番好きな√でした。AIとの恋愛、タイムリープの選択(これはアペイリア√に限ったことではないけれど)、終末の迎え方……などなど面白いテーマがたくさん詰まっていました。

 まずはAIとの恋愛について。アペイリアの場合は自我や知性を持っていると言っていいレベルだったが、それでも感情の理解は難しいようで、困難がありそうだった。ただ、1つ1つ感情を教えて恋を目指していくというのは素敵な過ごし方だなと羨ましくなった。しかし、個人的には感情を教えることができたとしても、自分が抱いている感情とAIが抱いている感情は別のものだと感じてしまうと思う。AIが抱く感情は禁書目録でいうところのフロイライン=クロイトゥーネの持っているものに近い気がする(伝わってる?)。状況を分析して、条件を1つ1つ判断していった結果、いわゆるこれが○○という感情であると分析してる感じ?アペイリアほどの性能があればほぼ100%の正解を出せるのだろうが、それでもやはり人間が抱く漠然とした感情とは違う気がしてしまう。また、人間の場合はいろんな感情がないまぜになった感情を抱くことがあると思うけれど、それをAIに説明するのは相当難しいと思う。嫉妬30、苛立ち25、後悔20、失望15、怒り10を混ぜたものです、みたいな説明をするしかないだろうけれど、そもそも自分の気持ちを完璧に言語化するのは不可能に近いと思っているから、AIにこういういった感情を正確に伝えるのは困難であると思う。ましてや今のところ現実にはアペイリアほどのAIは存在しないから、AIとの恋愛はより困難であると思う。でも、だからこそAIとの恋愛は夢があるんだよなあ。叶わないからこそ目指したくなる。どれだけ頑張っても自分のオモイは相手に正確に伝わらないけれど、だからこそ少しでも完璧に近づくために努力をするのが面白いし素敵であると思う。これはAIとの恋愛に限らず、言葉が違う相手、価値観が違う相手との恋愛についても言えると思う。

 あーだこーだ言ったけれど、アペイリアとのキスシーンはめ↑ちゃ良かった。指を挟んでのキスシーンは今まで見たことがなかったのだけれど(寡聞にして知らない)、かなり好きなキスの仕方かもしれない。恋についてよくわかってない(あるいは戸惑っている)2人がぎこちないながらもやっている感じがして良かった。普通のキスシーンよりも好き。

 タイムリープの選択については前の記事までにそれなりに書いたから、詳しくは書かない。ただ、前回までと違って単一世界論から多世界解釈に話が移った。零一がとてつもなく悩んだのもこれが原因だった。多世界解釈の立場に立つと、タイムリープをしても出会うのは別人であることになるけれど、それでも本当にする?という話。単一世界論の場合に比べてタイムリープしない派が増えそうではある。ちなみにボクもタイムリープしない派。タイムリープをしたとして愛する人に再び出会ったとしても、それは自分が愛した人と同じ見た目で同じ思考の持ち主の別人だと強く意識してしまうからね。原子レベルで一緒だけれど、だからこそ別人なのだという意識が強くなってしまいそうではある。ただ、前にも述べたように単一世界だったらずっとずっとタイムリープを繰り返すという逃避的な選択をすると思う。

 続いて、終末について。アペイリアと零一は1年ちょっとという期限を穏やかに過ごす選択をしたわけだけれど、こういうシチュエーションが好きなんだ。元々、セカイ系が好きだったから、それに影響されてるのかもしれない。だから、サノバウィッチのあの√も好きなの。終末が近づいたら、残された時間を愛する人と2人だけのセカイで穏やかに過ごしたい。スケジュール帳の予定を1つずつ埋めていきたいね。同じシルキーズプラスの「缶詰少女ノ終末世界」を積んだままにしていることが頭を過ってしかたないわ。

 アペイリア√でも再び出てきたから、「オモイは自動的」ということについて、もう1度取りあげてみる。自分でも思い通りにならない感情が湧きあがって来るけれど、それは送り付けられたようなもので、自動的な自分でしかないという話。だから、思い通りにならない自分に振り回されることはないよ、という話。理不尽な現代社会を生き抜いてくためには大切なマインドかもしれない。幾分、心が軽くなるからね。

 これはアペイリア√とは言えないかもしれないけれど、細かい話だから先に書いておく。スワンプマンについて。一のオジサンからスワンプマンの話を聞いた時点では、まさかスワンプマン的存在がこんなに出てくるとは思ってなかったからビックリ。しかし、どのスワンプマンも(ブックマン、シンカーは特に。永久子さんはまあ何とも言えないけれど。)良い結末は辿らなかった。特にシンカーはなあ。個人的にはけっこう好きなキャラクターだったし、最後のシーンを見ると余計に好きになったなあ。他人からは理解できないようなただ1つの願いを求め続けるタイプが好き。シンカーにとって零一の「俺なら潔く消える。」って発言は重かっただろうなあ。本物になるためには消えなければならないというどうしようもない状況で、悩み続けたシンカーの気持ちを考えると悲しくなる。引き延ばすという逃避的な選択もよく理解できる。最後の瞬間だけは少しでも救われたのだろうか。

 さて、ここからは全体の感想に入っていくけれど、まず、第1回の記事の予想を振り返ってみたい。

予想①零一たちが現実世界だと思っている世界ですら仮想空間でしかない。

 現実世界から仮想世界「セカンド」に入り、さらにその中で仮想世界「サード」に入ったように、そもそも零一たちが現実世界だと思っている世界の更に外側に世界があるのかもしれない。外側の世界が有るか無いかというよりも、現実だと思っている世界が仮想世界というのがポイントかもしれない。もしそうなら、タイムリープだと思っているのは、単純にゲームがリスタートされているだけなのかもしれない。」

いや!めちゃめちゃ大正解ですやん!今回ばかりはトンデモ予想ではなかったというわけね。こんな感じでこの作品にはどんでん返しが多く仕掛けられていて面白かった。何度も予想を裏切られたというか、予想を上回る展開が多かった。SF好きとしてはけっこう好きな作品だったが、その分、読むのが大変なところも多く、どっしり構えないといけない作品だった。説明パートはオートプレイを止めたもんね。かなりの名作に感じたけれど、他の名作ほど名前を聞く機会が少ないのは(これは勝手な印象かもしれないけれど)、こういう難しさがあるのかなと思った。特に最終盤のシンカーとの答え合わせ→現実世界に辿りついてから真相を知る場面のあたりは進めるのにけっこう時間かかった。まあでも、その分、読みごたえはあるから面白かった。何か所か、ついていけてないせいか、「ほんまか?」と言いたくなることがあったけれど。2周目ではそういったところの疑問を解消していきたい。

 なんか最後の方があんまりという評価があるから心配だったけれど、別にそんな悪くなかったと思う。まあ若干、急ぎ足だった感は否めないし、三羽関連の問題も片づけられてない感があったけれど、それでも許せる範囲内ではあると思った。

 

【項目別】

 いつも通り①シナリオ②グラフィック③H度④システム⑤サウンドの5つの観点から振り返ってみましょう。きちんと全てを掴みきっているか怪しいのに、こんなのを書くのはおかしい気もするけれど。

《①シナリオ》

 ★10です。SFが好きなんで、そもそもこういう世界観が好きでした。2周目をやったら結果が変わるかもしれませんが、今の間は暫定★10としておきます。シナリオについてはこの記事もそうだし、これまでの記事でもそれなりに書いてきたからこんなもんにしておきます。

 と言いつつ、書き忘れたことがあったので追記(2024年4月16日)。けっこう話が複雑なところが多いので、ゆっくりかみ砕いていく作業が必要でした(私の脳みそレベルの問題な気もしますが)。人によってはそういうのが大変だと感じてしまうかもしれません。

自分でも整理しようとがんばった①

自分でもに整理しようとがんばった②

 もう1点、人によって好みが分かれるかもしれないところとして、下ネタのノリが挙げられると思います。人によっては苦手なノリかもしれません。

 かなり良シナリオだと思うので、こういう表面的なところで「合わない!」と判断している人がいるとしたら、「最後までやってみよ!」と声をかけたいところです。

 

《②Graphic》

 ★9です。一枚絵は可愛いのが多いのですが、立ち絵になると若干、落ちる気がするのは気のせい?しかし、ふゆくるは★8をつけているあたり、基準が揺らいでいる気がするから、一度、他のやつも含めて見直した方がいい気がする。

 

《③H度》

 ★9です。面白いのがテキスト外のセリフをキャラクターがしゃべるところなんですよね。臨場感があって良かったと思います。三羽の誘い受け感が良かったし、久遠のお姉さんな感じも良かったし、沙羅のわからせたくなる感じも良かった(他のキャラクターも可愛いけれど)。

 

《④システム》

 ★6です。特に何もない限りは★6。シルキーズプラスの作品はCG回収率などがパーセンテージで表示されるのがわかりやすくて良いネ。

 

《⑤サウンド

 ★7です。opが好き。YouTubeのシルキーズプラス公式チャンネルに動画が挙げられているのだが、わりと繰り返し見ていた。それぐらいには好き。なぜかその動画だと沙羅と七海の紹介が逆になっているのだが。

 

以上、★41/50でした!好みと一致していたということもあり、高めに出た?カサブランカの騎士みたいなものがあるけれど、あれもやってみるか?スピンオフ的なやつなんだろうか。

 

○名言

「未来(キス)の後に過去(恋)ですか?」byアペイリア

このセリフだけだと全然、状況を伝えられないけれど。良い言葉だなと思った。

 

【雑談】

 次、何をしようか。G線上の魔王サクラノ詩で悩んでいるのだけれど。季節的にはサクラノ詩なのだが、けっこう時間かかりそうなんだよなあ。まあG線上の魔王に関しては一緒にやる機会があれば一緒にやりたいし、置いておくことにする。

 4月からしばらくはスイッチを入れないといけないね。