【ゲームの感想】景の海のアペイリア #2

【ゲームの紹介】

 さて、前回に引き続き景の海のアペイリアです。かなり面白くなってきました。萌えゲーアワード2017準大賞・コンセプトデザイン賞金賞を受賞しているだけはあります。三羽√、久遠√、ましろ√(これらを個別√といってよいのかわからないですが)をクリアしたので、そこまでの感想を書いていこうと思います。と思ましたが、全てまとめて書くとかなりの分量になりそうだったので、とりあえず三羽√の感想だけ書きます。

以下、重大なネタバレを含む……。

 

 

 

 

 

 

 

【ゲームの感想】

 まずは三羽√から。テーマの1つである愛(特に親子愛)について。三羽の答えは「誰かが抱きしめてくれること」だった。愛というカタチのないものを具体的な行動で定義するのはなかなか面白い定義の仕方だと思った。これはわかりやすくて良いと思う。三羽が他よりも体の触れ合いを強く求めたり、寂しがりやであったりするのも三羽の出自を知った後だと納得である。「体の隙間がなくなるぐらい、抱きしめてください」ってセリフ好き。

 もう1つ。これはいろいろな場面で出てきたことだけれど、生きるということについて。三羽は「嘘があってもいい。ただ1つくらいは本当のことがないと辛い」というもの。これに関してはめ↑ちゃ共感。自分にだってそういう情愛のようなものが1つくらい向けられていたっていいじゃない(青葉が似たようなことを言っていた)と思って生きている。でも、結局「本当のこと」が自分じゃ判断しにくいから生きづらいなと思う。だからこそ、三羽は愛について「抱きしめてくれること」というわかりやすい基準にしたのかもしれない。そして、生きるということ、意思決定に対して主人公が様々な場面で語っているのが、みんな意外と自動的に生きている、ということ。確かに意思決定の根本にある感情・衝動・意思、そういうものをさらにさかのぼっていけば結局どうしようもないところにたどり着く。好み・性格なども偶然の産物であり、それらから行われる意思決定も偶然の産物であるから、自動的であるという意見。結局、意識なんてものは遠い過去(やこの作品で言うと未来からも)影響を受けているものであって、どこまでが自分で選び取ったものかわからない。確かに、こういう風に考えて、自分の感情さえどうしようもないものなんだと思って生きると、少しは生きやすいのかもしれない。

 三羽√に入る前もそうだったけれど、02ルームから送るべきメールを選択するシーンは面白いなと思った。急にオートプレイが進まなくなって、「ん?もしかして選ばせようとしてる?マジ?」と思ったら、そのマジでありちょっとびっくり。進むにつれて送るべきメールの候補が増えてきて、「これ、間違えたらどうしよう?」なんて思っていたけれど、正解の選択肢以外は遅れないようになっているみたいで(今のところ)、助かった。でも、これで√分岐する美少女ゲがあっても面白そうだなと思った。

 もし自分がタイムリープしたら?と考えたことは誰しもがあるとは思うけれど、どこでタイムリープを終えるか悩むよね。主人公がましろや永久子たちを救ったうえでアペイリアを救う未来を目指したように、全員がハッピーエンドの未来を目指すと思う。しかし、自分は良かれと思って助けたことが後になってより大きな悲劇を招く場合、どちらを選択するかとても悩むと思う。ましてや、どちらか1人しか助けられないと言った二者択一の状況になったらかなり悩む。タイムリープできるのが自分自身だけだとしたら、他人の人生を握っているのも自分ということになるからね。タイムリープする者には大きな責任が付きまとうのだな。三羽の「繰り返すだけじゃだめですか?」という意見も確かによくわかる。というかむしろ、自分の性格を考えたら三羽派だと思う。タイムリープを繰り返し使用可能か、自分が任意のタイミングで発動できるかどうかなどの設定が重要になってくるだろうけれど、もし自分が任意のタイミングで何度でもタイムリープを発動させることができるのであれば、ぼくは三羽のように楽しかった日々を繰り返すだけの人間になると思う。その楽しかった日々に飽きるような言葉あれば、別の楽しかった日々の場所までタイムリープしてそれを繰り返す。決して前に進むことはないけれど、決して後ろに進むこともないのだからそれでよいのではないかと思ってしまう。

 さてEDまで一応たどり着いたけれど、どう考えても完全版のEDではないからもちろんまだまだ途中なのだろう。今、久遠√、ましろ√も終えて進んでいるけれどこのタイムリープが最後のタイムリープになるんじゃないかと思っている。そう考えると、終わりも近い?

 

タイムリープについて

 いろいろとごちゃごちゃしてきたからここらでまとめておきたい。タイムリープの形態として①世界の時間全体が巻き戻った②該当者だけが過去に跳んできた③記憶やメールのみが跳んできたなどが考えられる(もちろんこれ以外にもあるだろうけれど、考えやすいのはこのあたり)。②だと主人公たちが過去の主人公たちに会っているハズだから、②ではなさそう。残る①と③についてだが、タイムリープが起きた後、つまり2045年以降も世界が続いているかどうかについて考える。「もしその先も時間軸が続いているなら02ルームから出た後の記憶や01ファイルが送られてきてもいいはずだ」とのこと……?現状、02ルームから以外で過去にメールを送る方法がないから、その先の時間軸の自分がタイムリープすることがなければ、単純にメールを送る方法がないというだけになると考えるのはナンセンス?③の線でも行けそうな気がするけれど。しかし

・なぜタイムリープ直後、02ルームに移動するのか

・なぜ02ルームからメールを送ると、2044年に届くのか

・なぜサードにログインした場合、2045年の記憶が2044年に送られるのか

などの疑問点を考えると、①の方が説明しやすそうではある。いつもの立場だけれど、説明可能なものがいくつかあるの場合、より簡単にわかりやすく説明できるものを矛盾が生じるまで採用しておく、というのを使う(①を採用する)。タイムリープが起こった後の一時的な隔離場所として02ルームがある。じゃあ、零一以外のタイムリープ者はどこに行っているの?サードにログインすると限定的にタイムリープの影響を受けない領域に設定される、まあこれはよい。タイムリープして2044年の世界が構築されると02ルームから移動するという形。

→じゃあ、意識が未来から影響を受けるって話はどうなるの?

→未来には可能性としての世界が存在し、それから影響を受けている(この作品では意識は量子であるという前提がある)

なんだかすごい屁理屈な気もするけれど、量子論の干渉縞の話を出されるとなんかわかったようなわからないような気分になる(確率にすぎなかった波が干渉して、本来なかった確率を生み出す)。これに関しては、量子論から逃げ続けたぼくが悪いのだけれど。

 またアペイリアネットワークによるタイムリープは可能と回答アリ。実行は禁止されている。ただ、セカンドのルールに従えばそれは可能かもしれない(これに関してはセキュリティの関係で回答ナシ)。

 

○ウイルスについて

 観測者がアペイリア奪取のために送り込んできたゲームシステム外の存在で、量子的な性質を持つ。セキュリティシステムで駆除可能。

・ウイルスに殺された人物はなぜセカンドの住人(脳の情報を複製されたAI)となる?

 

○謎

謎⑤απειριαの名前の由来は?

 解決。古代ギリシャ語で無限という意味らしい。

謎㉓三羽がタイムリープしても記憶が残る理由。しかも長期間。

 人工子宮からバウンダリーにログインしている。セカンドはバウンダリーを参考にして作ったものである。セカンドのサードを制御する端末と同じ端末がバウンダリーにあり、三羽はそれにログインしていたという説。

謎㉔1回目のタイムリープが起きる直前、アペイリアは「――また待ってます」と言っていたけれど、この時点でアペイリアはタイムリープのことを知っていたの?なぜ?

謎㉕シンカーのデザイアの詳細

謎㉖アペイリアがセカンドに囚われる条件は?

 セカンドが存在すること。バウンダリーにログインすること。

謎㉗三羽とのった観覧車が良いタイミングで止まったり動き出したりしたのは誰かの陰謀?

謎㉘シンカーが一度も出会ってない状態の零一にメールを送れたのはなぜ?

 

○名言

「わたしは裏切りたくありません。どの時間軸でも」by三羽

タイムリープしても記憶が残るというのは(タイムリープものは基本的に記憶が残るようになっているものが多いけれど)、なかなか辛いものだと思った。自分が1度でも甘えた選択をした場合、それが一生付きまとうことになるのは辛い。

 

「いくら幸せになるためでも、不幸せを積み重ねるのだけは、やめといた方がいい」

「どんなに大きな幸せが手に入ったからって、帳消しにはならないぞ」by零一

小さな幸せを積み重ねて大きな幸せを手に入れろと言うありがたいお言葉。嫌なことはするなというわけじゃないけれど、不幸にはなるなという話。