【ゲームの感想】夏空のペルセウス ~沢渡透香編~

【ゲームの紹介】

 今回プレイしたのは、(前回に引き続き)minoriから2012年12月21日に発売されたゲーム「夏空のペルセウス」(今気づいたけれど、全然夏じゃない時期に発売してるじゃん)。恋√→あやめ√→翠√とやってきて、最後に透香√です。まあ、3回目なので紹介はこんなもんで。ペルらじを聴きながら、どうぞ。

以下、重大なネタバレを含む……。

 

 

 

 

 

 

 

 

【感想】

 さて、翠√終了後に急にタイトル画面が変わり、なんだなんだと言っているうちに透香√に突入してしまった、というのが前回までのあらすじ。共通√の話ではあるが、天領村に最初に降り立ったときの感想でも、恋は「嫌いじゃないわ」と言っているのに気づきました。この時点ですでに口癖が現れていたんだね。

 透香√の特徴としては、他の√にはなかった他のキャラクター視点があるということ。望楼での恋と透香の直接対決シーンは、もちろん森羅視点で描くことできないから、透香視点から描かれていたけれど、それにより透香の気持ちを直に感じられて良かった。同じ男を好きになった女同士の修羅場だからね。ただ、恋が透香の胸ぐらをつかんだときに、胸と胸がぎゅいん(伝わってるよね)ってなってたのが面白かった。「死にたいわけないじゃないですか。」っていうセリフが透香の口から聞けたのが良かった。普段の透香は余裕がある感じでここまで直接的に気持ちをぶちまけてくれることがなかったから、新鮮だった。透香のこの本心を引き出したという意味でも、やはり恋はキーパーソンだった。「なんでこんな目にあわなくちゃいけないんですか?」という透香の気持ちは、恋にはよくわかったと思う。生まれ持った能力のせいで今まで理不尽な扱いを受けてきた恋にとって、この気持ちは痛いほどよくわかったと思う。

 もう1つ、透香の気持ちがよくあらわれているシーンと言えば、拒絶のシーン。主人公の能力を利用して透香の病を癒すことになって、まさかそんなうまいこといくはずはないから、何かしらの障害が出てくるのだろうと思ったいたけれど、まさか透香本人から拒絶されることになるとは。でも、透香の言葉を聴けば、たしかにそうだよね、とうなずけた。「私は森羅くんの満足ために、自分の残った時間を使いたくない」、「哀れまれて、可哀そうな自分のまま、みじめに死んでいくなんて―」というのは言われてみればわかるが、森羅側だとなかなか気づきにくい気持ちだよなあ。俺が救ってやるんだ!ってなってる状態だったから、こういった言葉はかなり刺さったと思う。実際、自分も透香の気持ちに気づけていなかったから、このシーンでハッとさせられた。「森羅に自分という存在を刻み込みたい」という気持ちも納得ですね。

 透香の魅力その①、笑えないブラックジョーク。ゲームを通してだから笑えるものの、もし自分が森羅の立場だったら笑えないようなものが多くて、そこが好き。

「もちろん初めてです。これが最初で最後になったりして」

「若くして儚く散った人がいいんですね。まさか、自分が儚く散ることになるとは予想もしませんでしたけど」

などなど、かなり鋭いものが多く、聞いていて面白かった。

 透香の魅力その②、Hシーン。個人的に好きなのは1stHシーン。BGM(38.fake)が良い。そして、何よりも表情が良い。時折、レ〇プ目のような表情をするのだが、これがものすごくかわいい(決してレ〇プが行われているわけではない)。まあ、この段階では完全に気持ちが通じ合っているわけでもないし、透香も初めてのことで多少なりとも恐怖はあると思う。きれいな夜空の下、望楼にて、という状況でのHということもあり、なんだかものすごく神秘的だった。単純な疑問なんだが、透過・あやめ・翠たちは性についての知識はどれくらい持っているんだろう?透香は街に行く機会も多いし、携帯電話も持っているからある程度は想像できるけれど、他の2人は本当にまっさらな感じがするよね(透香に関してはクリ〇リスという単語は知っていたみたい)。思えば、2012年といえばまだガラケーがそれなりに生き残っていた時代か?

 透香の魅力その③、ですます口調。(あやめもわりとそうだったが)透香は基本的に誰に対してもですます口調で、これは付き合った後も基本的にあまり変わらなかった。これが良い!人によっては「そんなの距離を感じるから嫌だ!」いうかもしれないが、お互いのパーソナルスペースをわかってる感じがあって良い。付き合ってもベタベタばかりではなく、お互いのことを尊重している、そういう関係性が好き。だから、付き合った後もですます口調でしゃべってくれる子は好き。

 さて、ここまで透香の魅力を語ってきたわけだが、この√(というかこの作品)最大のキーパーソンとも言える恋についても語るべきだと思う。結果だけを見れば「すでに付き合っているヒロインがいるのに、別のヒロインとHをする」という(少なくとも純愛系の作品では)珍しい展開になっており、衝撃だった。ただ、このときの恋はなかなかに切なかったと思う。失恋している(その女の子の名前が「恋」というのは少し皮肉めいている感じもするが)わけだからね。自分はこんなにも相手を愛しているけれど、でもそれは相手にとっての幸せじゃないと自分自身がよくわかっている……というなかなか辛い状況なんだもんね。この展開で良かったなと思うのは、恋と森羅が力を合わせて、透香を助けるぞ!とはならなかったこと。「どうやっても透香を助けたいなんて、心から想えないの」っていう気持ちの吐露があったのが良かった。そんな一瞬で今までの気持ちに区切りをつけることなんて無理だと思うからね。この後のHシーンでの恋はそれまでの恋とは少し雰囲気が変わってかわいかった(まあ、それまでもかわかったけれど)。これまで「森羅」呼びだったのは、主人公の1人の男として見ていたのもあると思う。透香と主人公がくっつくのを受け入れざるを得なくなり、主人公のことを兄としてとらえ直すことになり、これからは「お兄ちゃん」呼びが増えていくのだと思う。

 ここまで謎としてとりあげていたもの(あやめ編の感想記事書いていた)が解決したから、それを見直しておく。

謎①恋の方が能力が強いけれど、それには理由があるのか?

 特に理由があったわけではなかったようです(「あったわけではなかった」ってややこしいね)。その分、恋は森羅以上に利用されてきたようですが。

謎②夏空のペルセウスというタイトルの意味

 これは終盤に、透香の口から説明された。

ペルセウスは最初から武器を持っていたんです」

「彼の心にはきっと、なにものにも負けない勇気があったんだと思います」

この段になってようやくサブタイトルの存在に気づいた。よく見たら「夏空のペルセウスThe brave under the summer sky」って書いてるじゃん!というかopのタイトルも「The Brave Under The Summer Sky.」だった。これまでさんざん能力を利用されてきて(本人も言っていたが)人間不信になっていた森羅であったが、彼の勇気が決め手となったのは良い展開だと思った。

 その他、細かいところ。透香の病気の詳細については特に語られることはなかった(必要があったとは思わないが)。2年前に発症したということだけがわかった。たぶん、最後に運命について書くことになると思うが、それを考えると透香の病気の種類はあまり関係ない気がするから、詳細を書く必要はなく、これで良かったと思う。主人公の母親は出てきたけれど、父親は出てきてたっけ?というか、母親も同じ力が宿っていたのだろうか?

 さて、ここから先は感想というよりも、個人の考え方を書いていくだけになると思う。この√のテーマの1つに運命というものがあったと思う。透香は夏の終わりに死ぬという運命にあったはずだが、主人公と恋の力をもってしてその運命に抗うことができた(運命から痛みを消し去るという、超次元的な解決法)。主人公と恋には呪いとも思えるような力が宿っていたが、それは透香と出会うための運命だった。しかし、そうだとすると恋は初めから主人公とは結ばれない運命にあるということになり、少し可哀そうではあると思った。透香を癒すとともに主人公から能力が完全に消え去ったということからしても、透香と主人公たちは出会うべくして出会ったと言える。「運命」という言葉が好きだから、どうしてもこういう話には惹かれてしまう。運命、大切にして生きていきたいよね。

 

〇名セリフ

「まるで夢みたいに思える時間を生きている―それが、幸せってことでしょう」by透香

最終版でのセリフ。一度は病気により人生を諦めていた透香が、主人公との未来をつかみ取った後に言うんだから重みがありますよね。

 

「恐れない勇気を持っていけば、人生は拓けていく。たとえどれほどの絶望に打たれても、どれほどの困難に見舞われようとも。あきらめずに、明日のために戦う勇気があれば、きっと。」by森羅

最終版でのセリフ。望楼で物語が締めくくられるわけですが、このシーンものすごくきれいで好きです。

 

【雑談】

 遂に、夏空のペルセウスが終わってしまいました。まあ、恋√のやり直しと全体のまとめも書くつもりですが。次の候補としては、

SuGirly Wish、最果てのイマ、ふゆから、くるる、このあたりですかね。レイラインシリーズもやりたいよお。