【ゲームの感想】家族計画 #5

 

【ゲームの紹介】

 ついに今回が最終回となります、家族計画の感想記事です。準√をきちんとやり終えたので、その感想を書いていきます。家族計画、めちゃめちゃ良いゲームだったヨ!最後なので、紹介もしておきます。

 主人公は繁華街の路地裏でワケアリの中国人少女を拾う。面倒を見ていると、謎の中年男性も家に入り浸るようになり、さらに自殺しようとしていた女性を助けたことから彼女も仲間になってしまった。その他含めてワケアリたちが当面の都合のために始めたのが、疑似家族をつくるという相互扶助計画、家族計画……。

以下、重大なネタバレを含む……。

 

 

 

 

 

 

 

【ゲームの感想】

 前回、前々回の記事で書いたように準√になかなか入れなくて困っていたんですよね。攻略サイトを解禁することになりました。どうやら、「崩壊」までにどのキャラクターの王冠ども一定値以下だと準√の途中で終わるみたい(久美景との会話のところ)?ちょっとよくわかってないから、あまり信用しないで。
 さて、準√はかなり面白かった・感動したが、その理由は司との共通点にあると思う。2人とも心の底ではどうしようもないくらい繋がりを求めているのに、不器用がゆえにその気持ちに向き合えないところ。ましてや準に関しては今までの生き方に雁字搦めにされている(悪事に手を染めている、景に嫌われていると思っている)から、司にも素直な気持ちが出せないでいた。そんな2人だから案の定、ぶつかり合うことも多く、見ていてもどかしい気分になることが多かった。ただその分、準が本音を話すときはうれしい気分になるし、最後のシーンは感動した。高屋敷家での生活は大好きだったと言ってくれたのはうれしかったね。
 準の過去に関しては(栄養ブロックしか食べてないという時点で)ある程度、想像がついていたがひどいものだった。家族に裏切られるというのは相当きついことだと思う。いくつかの記事でも書いたように、「理不尽が満ち溢れているこの世の中で生きていくためには、人は群れずにはいられない」というのが家族の存在意義だと思う。いわば唯一絶対と言える拠り所である。したがって、家族に裏切られるということは自分の土台が揺らぐということであり、生きてくのが難しくなる(というのは極端かもしれないが)。家族に裏切られる辛さを誰よりもわかっているはずの準が薬を売りさばいて家族を裏切ったのは悲しかった。絶対やっちゃダメなことだって誰よりも身をもって知っているはずだから、自己嫌悪に陥ったであろうが。春花はきっとそういったことを理解した上で、(罪を認めて)全部許すと言ったのだろう。っていうか、準が1番最初に好きになったのって春花だったんだね。てっきり茉莉かと思っていた。準は下の子想いだから、春花の笑顔にやられやすかったの🦆。

 多分、準√で1番名シーンとして挙げる人が多いであろうシーンは最後のオムライスのシーンだと思う。良い方向で終わらせるには準の拒食症(という言い方が適切かはわからないが)を克服させるはずだと予想できてはいたが、いざ準が泣きながらオムライスを食べているシーンを見るとこちらも少しウルウルしてしまった。その前のシーンがけっこう良い味出してるよね。食べることに執着してこなかった準だけれど、体は正直なもので空腹になると腹が鳴る。全てに疲れた準は死にたいと口に出すけれど、体は生きることを望んでいる。このシーンが前にあったからこそ、その後、家族(園長先生、景も準にとっては家族)で食べるオムライスのシーンが感動的なものになるのだと思う(いわゆるカタルシス?)。

 準と景、どっちが人気なんだろうか。見た目だけで言うなら景の方が好みだが、全てを総合するとなると、う~む、難しいところ。好みの話はさておき、準にとってはせめてもの幸いは肉親が残っているところだよね。(実質)天涯孤独みたいな人が多い中で、信頼できる肉親が残ってるというのは大きな支えだと思う。姉妹そろって同じ男を好きになるのも運命というものね。準が木に登った日(こう書くと馬鹿らしいが)、何があったのだろうと思っていたら、司の後を付けていたんだね。準視点(というか天の視点)で語ってくれていてわかりやすかった。

 

〇メモ

 コカインは効き目が短いし、シラフに戻ったときにすごく鬱になるみたいな話がでてたけれど、ほんまか?まあもちろん、やったことがないからわからないのだけれど。

 二千円札が出てきたのには時代を感じてしまった。

・Jターン…地方から都会へ出た人間が故郷に近い地方都市で働くこと。

 

〇春花と学ぶ中国語

・姐姐(お姉さん)

 

〇名言
「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすと言うっっ!」
「生命保険が下りるからな」by寛
寛のこういうギャグのおかげで飽きずに進められたから、寛の存在は偉大。

 

「私だって女だから……一生に一度くらい、誰かに好きになってもらいたいと思うけど」

「けどそれが手に入らないものだったら、私に依存してくれるような人でも……いいって思っちゃう」

「弱いから、つらいの」by真純

真純は本当に弱いなと思う部分があって、若干イライラするところもあったが、このセリフを言われたら、確かに、真純にも一理あるなと思ってしまった。

 

「お金じゃ、何も解決できないよ!」

「家族が欲しくて欲しくて……欲しくて……」by準

このあたり瞬間最大風速を感じた。これもまた家族の存在意義につながるよね。けっこう感動ポイント。

 

「生きてて、何が悪い」

「生まれてきて、何が悪いんだよ」

「生まれちまったものは、生きるしかないだろ?」

「嫌がられようが、邪魔だろうが、生きるしかないだろ!」by司

土管の中に逃げ込んだ茉莉に対して司が投げかける言葉。自分自身の魂の叫びでもある。家族計画に参加することになった人たちは皆、はぐれ者と表現されるような存在であり、全員が同じような想いを持っていたと思う。この一連の言葉、かなり好き。

 

【項目別】

 いつも通り①シナリオ②グラフィック③H度④システム⑤サウンドの5つの観点から振り返ってみましょう。

《①シナリオ》

 ★10です。ここまで5つの記事にわたって感想を書いてきているので、細かいことは省略しますが、相当好きな作品になりました。微妙だなと思う√がなかったのも(真純√が他の√に比べて物足りないと思うことはあっても微妙だとは思わない)、(美少女ゲーにしては)珍しいと思いました。感動シーンはもちろんのことですが、日常シーンもギャグが面白く読みやすかったのが良かったです。多分、自分が面白いと思う方向性と一致していたのだと思います。ただ、平凡な日常生活を送らせるのではなく、マフィアの抗争などで緊迫感を出す要素があったのも、個人的には続けやすかったポイントです。家族の存在意義とは何かというメッセージを一貫して発し続けていたのも好きなポイントです。

《②グラフィック》

 ★6です。まあ昔のゲームだから仕方ないね。というか家族計画はこういう感じのタッチの絵が合っている気がするから、変にピカピカの新品にしなくてよいと思う。

 

《③H度》

 ★5です。まあ、家族計画をH目的で買う人はいないと思うけれど。シナリオ目的ですからね。

 

《④システム》

 ★5です。これも昔のゲームだから仕方ないですね。セーブ数が少なかったのが少し不便でした。でも、最低限の機能は付いているので、プレイしていて不快に感じるということはありません。

 

《⑤サウンド

 ★9です。なんといってもオープニングテーマが名曲ですよね。家族計画の購入を決意した理由の1つでもあります。エンディング曲もわりと好き。

 

 以上、★35/50でした。こう見ると★の付け方が良くない気がシマス。というのは、昔の名作ってシナリオは良いけれど、時代の関係で絵がそれほど綺麗でなかったり、システムがそれほど便利でなかったりすることも多く、そこで★の数を落とすことになってしまうから。ですから、多分、項目ごとの比重を変えた方が良い気がしています。要検討。

 

【雑談】

 「家族計画~追憶~」が終わったけれど、一緒に購入した「プレミアムアーカイブス 山田一」の中に「家族計画 そしてまた家族計画を」があるから、それを連続してやっていきたい。

 セリフから連想したことなのだけれど、『たった一つの冴えたやり方』を読んでみたいと思ったわよ。